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遮熱ヘルメットの効果について(その2)

株式会社谷沢製作所 営業部 樫本知史


昨今、働く方の熱中症対策として、遮熱塗装を施したヘルメットの普及が急速に進んでおります。
普及が急速に進んでいる理由として、帽体内の温度を大幅に下げる効果がある上に、他に何かを身につけるといった煩わしさがないということがあげられます。

遮熱塗装の効果の差は、ヘルメットメーカー各社が用いる遮熱塗料の違いに因ることは申すまでもありませんが、その他にヘルメットの帽体の材質と塗装色にも大きく依存します。
ここでは2つの試験を通して、その違いを見てみます。

 

遮熱塗装の効果比較 ~材質による違い~

<測定内容>
帽体材質による温度上昇幅の違いを検証するため、PC樹脂製、FRP製、ABS樹脂製ヘルメットで、それぞれ遮熱塗装あり・なしの場合の帽体頂部の内表面温度を測定する。

<測定方法>

色相 白色帽体 / 白色塗装
光源 300Wハロゲンランプ
測定部位 ヘルメット頂部の内表面
照射距離 光源より30cm
測定方法 ヘルメットの内装体を取り外した状態で、遮熱塗装あり・なしのヘルメットをそれぞれ同位置で、初温度を一定にして熱源を照射する。
帽体頂部の内表面温度を30分間5分刻みで測定。
試験環境 室温23~25℃の風の影響を受けない環境下

遮熱塗装の効果比較


<測定結果>
①PC樹脂製(ST#140)
ST#140 遮熱塗装の有無による温度比較
●30分経過後の遮熱効果:12.4℃


②FRP製(ST#108)
ST#108 遮熱塗装の有無による温度比較
●30分経過後の遮熱効果:13.7℃


③ABS樹脂製(ST#1830)
ST#1830 遮熱塗装の有無による温度比較
●30分経過後の遮熱効果:5.9℃


<考察>
試験結果を見ると、遮熱塗装のあり・なしにかかわらず、材質によって温度上昇幅に差があることがわかります。
これは、帽体樹脂と遮熱塗装の熱放射率によって生じる差です。
30分経過後の遮熱効果はPC樹脂製が12.4℃、FRP製が13.7℃、ABS樹脂製が5.9℃と、材質によって効果に差がでており、一見ABS樹脂製の遮熱性能が低く見えます。
しかし、遮熱塗装なしの帽体で比較すると、30分経過後の温度は、PC樹脂製75.0℃、FRP製71.2℃に対してABS樹脂製では64.6℃と、もともとABS樹脂製は温度上昇幅が少ないことがわかります。
遮熱塗装ありの帽体では、30分経過後の温度は、PC樹脂製62.6℃、FRP製57.5℃、ABS樹脂製58.7℃と、比較的近い温度になっています。
帽体材質や遮熱塗料によって温度上昇幅が違うため、異なる材質、異なる製品で遮熱あり・なしの比較を行う場合には、性能評価にあたって注意をする必要があります。

遮熱塗装の効果比較 ~色による違い~

<測定内容>
帽体色による温度上昇幅の違いを検証するため、FRP製の帽体を用い、白、黄、青、緑それぞれの遮熱塗装あり・なしの場合の帽体頂部の内表面温度を測定する。

<測定方法>

使用帽体 ST#108(FRP製)白、黄、青、緑それぞれの遮熱塗装あり・なし
光源 300Wハロゲンランプ
測定部位 ヘルメット頂部の内表面
照射距離 光源より30cm
測定方法 ヘルメットの内装体を取り外した状態で、遮熱塗装あり・なしのヘルメットをそれぞれ同位置で、初温度を一定にして熱源を照射する。
帽体頂部の内表面温度を30分間5分刻みで測定。
試験環境 室温23~25℃の風の影響を受けない環境下


<測定結果>
ST#108 帽体色別温度変化の推移(遮熱塗装あり)


ST#108 帽体色別温度変化の推移(遮熱塗装なし)

<考察>
帽体色によって温度上昇幅にかなりの差があることがわかります。
遮熱塗装なしの帽体では、30分経過後の温度は白色が73.6℃に対して青色では91.1℃となり、17.5度もの差が生じました。
遮熱塗装ありの帽体では同様に、白色が60.6℃に対して緑色では78.8℃となり、17.5度もの差が生じました。

これらの結果を見ると、「白色の遮熱塗装」が、熱中症対策には最も効果があるということがわかります。
遮熱塗装を施していない青色ヘルメットから遮熱塗装を施した白色ヘルメットに切り替えた場合、30.5℃も下げることが可能になります。

最後に

このように、ヘルメットの遮熱効果は、帽体材質、帽体色によってかなりの差が生じますので、作業内容に合わせて、最適な遮熱塗装帽を選択されることをおすすめします。

最近、特定の製品の遮熱効果をよく見せるために、違う条件(帽体材質・塗装色)で比較資料を作成するという悪質なケースが見受けられますので、ご注意ください。

なお、蛇足ながら、ポリカーボネート(PC)樹脂、ABS樹脂は耐溶剤・薬品性に劣る欠点があり、帽体に塗装する場合には十分な検証が必要です。
ご購入の場合は、塗装前後の性能試験はもちろんのこと、少なくとも半年間の経年劣化試験を実施した製品を選択されることをお勧めします。