“働く場所”が、
“生き抜く場所”に変わる瞬間
寝具、トイレ、感染症……
見落とされがちな“備え”こそが命を守る
大規模災害の発生が現実味を帯びる中、オフィスに求められる備えも変わりつつあります。
この対談では、防災のプロと現場を知る担当者が、「企業が本当に備えるべきこと」について語ります。
見落とされがちな備えの本質、そして“働く場所を生き抜く場所に変える”ために、企業がいまできることとは?
首都直下地震や南海トラフ地震など、大規模災害の可能性が現実味を帯びるいま、企業にとって“備え”は、もはや選択ではなく責任です。本日は、危機管理アドバイザーの国崎信江さんと“働く場所が生き抜く場所に変わる瞬間”をテーマに、オフィス防災の課題と、そこに求められる備えのあり方について緊急対談いたします。
国崎 信江
危機管理アドバイザー
危機管理アドバイザー。阪神淡路大震災以後、家庭・地域・企業の防災・防犯・事故防止対策を提唱。現在、内閣府防災スペシャリスト養成企画検討委員、戦略的イノベーション創造プログラム課題「スマート防災ネットワークの構築」延暦的コーディネーター。株式会社危機管理教育研究所代表。
谷沢 明弘
谷沢製作所・営業部
株式会社谷沢製作所・営業部セールスマネージャー。谷沢製作所にて、法人向け防災製品の提案・導入支援を担当。多様化する働き方やオフィス環境に即した「使える備え」を追求し、企業の現場に寄り添う提案を心がけている。オフィス防災シリーズ企画にも深く関わる。
「 備えが生む余裕と適切な判断」(国崎)
「だからこそ
置きやすいA4サイズなんです」(谷沢)
まずは、そもそも“オフィス防災”は、なぜ必要なのか。災害発生のリアルを踏まえて、話がすすみました。
国崎
災害はいつ起きるかわかりません。とくに地震は予測が難しく、就業中に発生する可能性は十分にあります。その瞬間からオフィスは“働く場所”ではなく“生きる場所”に変わるんです。
谷沢
営業の現場に出ていると、ヘルメットひとつ備蓄していない企業様がまだ多くて……。防災って、意識するきっかけがなければ、なかなか後回しになってしまうんですよね。
国崎
経験や判断力も必要ですが、まず大切なのは“備え”です。モノがあることで心にも余裕が生まれ、適切な判断と行動ができるようになる。これは本当に大きなことです。
谷沢
弊社の「A4防災シリーズ」は、“本棚やキャビネットに収まる”というサイズ感と、親しみやすいデザインを意識してつくりました。オフィス防災を“自分ごと”にしてほしいという願いを込めています。
「命を守るには
頭を守ることが最優先です」(国崎)
「
保護帽メーカーの
技術を凝縮しています」(谷沢)
国崎
災害時、企業には“安全配慮義務”があります。社員を守る備えをしておくのは当然の責任です。その中で、第一に命を守るためにはまず「頭を守る」ことが必要なんです。
谷沢
まさに「Crubo」はその発想から生まれた商品です。取り出しやすさを重視し、ワンアクションで組み立てられる設計もこだわりです。
国崎
手に取ってすぐに装着できるのがいいですね。何より、かぶったときの安定感があるんですよね。調整機能もしっかりしていて。
谷沢
長時間かぶっても首に負担がかからないように、ウエイトバランスも工夫しました。保護帽メーカーの技術を凝縮して、しっかりとした防災用ヘルメットを届けたいという想いがあります。
国崎
デザインもいいですね。谷沢製作所さんらしい誠実なモノづくりが伝わります。
「睡眠をしっかりとれるか、
それがその後の
判断力や行動力に影響します」(国崎)
「開発メンバーのオフィス泊体験
から生まれた不織布シーツ」(谷沢)
国崎
災害のときは、寝たくて寝るのではなく、心身ともに疲れ切って眠るんです。そんな中で安心して横になれる環境は、本当に大切です。睡眠をしっかりとれるか、それがその後の判断力や行動力に影響します。
谷沢
以前、開発メンバーが災害でエアマットに寝たら、ベタついて寝苦しかったという体験から、「寝宿自在」には不織布シーツや耳栓もセットにしました。
国崎
その配慮は素晴らしいですね。不織布があれば衛生的に複数人で使えるし、エアマットの効果がさらに上がります。
谷沢
災害対応マニュアルも入れてあり、パニック時でもすぐ使えるようにしています。心理的にも安心の確保に役立てればいいと思っています。
「排泄だけでなく
感染症対策を見据えたトイレ」(谷沢)
「劣悪な環境が精神的にトラウマ
になることあるからこそ」(国崎)
トイレ問題。避けて通れませんよね。
国崎
水や食料の備蓄は進んでいても、トイレや衛生環境まで想定できている企業って、正直まだ少ない印象です。災害時、トイレは我慢できません。
谷沢
でも後回しにされがちですね。
国崎
我慢しても、一人あたり1日5回くらいは排泄を想定すべきです。被災地では悪臭や汚物が精神的トラウマになるケースもあります。
谷沢
そこをなんとかしたくて「衛生のミカタ」をつくりました。ニオイをもらさない袋、ウェットティッシュ、抗菌機能のある凝固剤など感染症対策も考え、簡単な衛生ルールガイドも加えて、誰でも安心して使えるようにしています。
国崎
最初に準備とルールがあるかどうかが、命運を分けることもありますね。誰かひとりがトイレを汚してしまうと、それだけで全員が使えなくなります。備えがあって、最低限の“清潔を保つ工夫”ができるだけでも、精神的な安定につながります。
「初動でどう運ぶか、
運べるのかがとても重要」(国崎)
「小回りの利く保管しやすい担架
を目指しました」(谷沢)
負傷者が出た場合の搬送、意外と見過ごしがちですね。
国崎
震度5強以上の揺れなら、何らかの怪我をする人が出る可能性が高いです。搬送手段があるかないかは、命に関わる場合もあります。
谷沢
ただ、金属フレーム付きの担架は保管が大変です。弊社の「自在担架」は不織布製で棚に収まり、540gと軽量。それでいて最大150kgまで耐えられます。
国崎
“角を曲がれる担架”でもあるんですよね。非常階段などで小回りが利きそうです。
谷沢
持ち手も強く縫製していて、狭い場所でもしなやかに使えます。
最後にもう一度
オフィス防災に必要な
“3つの視点”
最後に国崎さんに、オフィス防災、特に「備え」を考えたとき、大切にすべき考え方を伺います。
国崎
私は企業の方々から「予算と保管場所が限られている中で優先的に何を揃えればいいか」とよく聞かれます。その際お話しするのは、次の三原則です。1. 「命を守る」——頭を守ること、手当・搬送を迅速にすること。2. 「二次被害を防ぐ」——被害の拡大や手間の増加を防止。3. 「健康的に過ごす」——長丁場を支える体力と判断力の確保。
谷沢
そういった意味では「Crubo」と「自在担架」は命を守り、「寝宿自在」は健康を保ち、「衛生のミカタ」は二次被害の防止に役立ちそうです。
国崎
社員全員にCruboを配って、空いたスペースにそれぞれの必要品を入れておくよう勧めてもいるんです。カスタマイズですね。自分で工夫することで、その人にとっての最適な防災が生まれるとも思っています。
ありがとうございました。