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「ファスナー風管」開発物語
はじめに
 当社の創業者、谷澤末次郎がアメリカで使われていた布風管に着目し、マインチューブの名で国内の炭鉱・鉱山向けに製造・販売を開始したのは昭和26年のことでした。

 

 それまで使われていた鋼製ダクトに比べ、軽く、安く、使いやすいため、布風管は急速に普及しました。

 その後、日本が高度成長を遂げた昭和40年代には、道路や鉄道などのトンネル掘削工事にビニール製布風管が使われるようになりました。当時の製品は、等間隔に中間リングを配した風管(リング式風管)で、接続リングを用いて接続していました。

 昭和50年代前半、トンネル工事で発生した火災事故で、ビニール風管が、延焼するケースがあったため、道路公団では不燃性の風管を用いるように指導するようになり、再び鋼製(スパイラル鋼管)風管が使われる事が多くなりました。

ファスナー式風管の提案
リング式風管

 ある大手ゼネコンの機械部から、ファスナーで接続するビニール風管の開発依頼を受けたのは、昭和55年のことです。

 リング式風管はスパイラル鋼管に比べ、軽量、安価で扱いやすいけれども1メートルごとに入った中間リングによる摩擦損失が非常に大きく、また接続部からの漏風も多いという欠点がありました。

 一方スパイラル鋼管は、漏風や摩擦損失は少ないものの、非常に重いため作業性が悪く、転用が利かない欠点がありました。またトンネル工事では、前進する切羽をセントルが追いかけて行きますが、それをすこしずつ前進させるたびに2〜3時間かけて風管の付け替えをしなくてはなりませんでした。
 その頃、ノルウェーのベンチフレックスというビニール風管が日本に紹介されました。この風管は従来のリング式風管と同様、末端のリング同士をジョイントカバーで接続するものですが、中間リングが無く、摩擦損失を低く抑えられます。このような中間リングのないビニール風管の両端にファスナーをつけて、作業性を向上させ、漏風を少なくしたいというのが提案者の要望でした。

ファスナー式風管の開発
ファスナー風管(当時の試作品)

 ファスナーで接続するにあたり、密封型のファスナーを用いるのは技術的にも価格的にも難しかったので、風管内部に漏風防止のスカートを付けることになりました。このスカートが送風による内圧で風管、特にファスナー接続部分に密着して漏風を防ぐわけです。スカートの材質や厚み、長さを決めるため、スカートの様子が見える透明の風管を作って 実験を繰り返しました。

 昭和56年、富山県宇奈月町の導水路トンネル現場に口径1,200ミリメートルの試作品を持ち込みました。  評判は上々、特に軽量なので作業員の方々にとても喜ばれました。

 ところが1ヶ月経ち、2ヶ月経つうちに、次々と溶着部やつり部が破れてしまいました。リングが無くなったことによる、いわば風船の破裂のようなものです。その都度、溶着方法や吊り部の構造に工夫をし、序々に製品としての仕様が固まって行きました。
 昭和57年1月18日、「可撓風管の接続装置」の名称で提案者のゼネコンと当社で実用新案として共同出願し、昭和63年6月27日に登録されました。

道路公団、鉄建公団への説得

 前述のとおり、道路公団や鉄道公団では火災対策としてスパイラル鋼管を推奨しており、新開発のファスナー風管を提案しても相手にされませんでした。そこで当社では全国の労働基準監督署を一ヶ所ずつ訪問し、防炎生地を使っているため燃え上がらないことを説明しました。ファスナー風管を使うとセントル移動時に送風を停止する時間が短いため、粉じん災害防止の観点からも有利であることもあり、次第に施工計画書にファスナー風管を盛り込むことが認められるようになり、道路公団や鉄建公団発注の工事でも使用されるようになりました。

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バーナーによる燃焼 燃焼後自己消火する

 それまでのリング式風管は黄色と相場が決まっていましたが、ファスナー風管はグレーに決めました。グレーの風管は送風した状態で鋼製のように見え、作業員の安心感が増したと聞いています。汚れれば汚れるほど貫禄が出る不思議な製品になりました。

青函トンネル工事での採用

 昭和59年5月、宮城県の導水路トンネルの現場で1,800メートルの実測試験が行われ、漏風率0.014%という画期的な好データが得られて、改めてファスナー風管の実力が証明されました。
 ファスナー風管が一気に広まったのは、当時ピークを迎えていた青函トンネルアプローチ線トンネル工事での採用です。ここの多くの工区で使用された後、施工した各ゼネコンが全国の現場に広めてくれました。
 その後20年、軽量化や低漏風化などの改良を行って、今やトンネル工事の換気に無くてはならない仮設資材となっています。