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回転式ヘルメット「Crubo(クルボ)」開発物語

2016年1月、ヘルメット帽体の上半分を回転させて高さが半分になるヘルメットを発表しました。帽子がクルッと回るので、その名も「Crubo(クルボ)」。回転させると高さが8cm、ビジネスバッグにも入りますので、携帯するのにたいへん便利です。また、ほぼA4サイズ(厚さ84mm)の小箱入り。本棚や机の引き出しにも収納できますので、防災用ヘルメットとしても最適です。

 

折り畳み式ヘルメット8年

株式会社イエローというデザイン会社が、折り畳み式防災用ヘルメット「タタメット」を発売したのは2008年の1月のことです。このヘルメットは前後に折り畳むと厚さがわずか35mmになり、折り畳み式として初めて、「保護帽の規格」に基づく「飛来・落下物用」の検定を取得しました。広げて固定すると、規格に要求される大きな衝撃を受けても帽体の形が保持されることや、内装体の折り畳みメカニズムに、当社もヘルメットメーカーとして大いに目を開かされました。

それから8年、この「タタメット」を追って、各社から様々なアイディアの折り畳みヘルメットが発売されました。例を挙げれば、輪切りにした帽体をバックルでつなぐ方式、前後ではなく左右に畳む方式、上下につぶす方式などです。

当社では2014年1月に防災用として、布製のキャップの中に衝撃吸収パッドを入れ、飛来・落下物用ヘルメットと同等の衝撃吸収性能を持つ「ヘルキャップ」を発売しました。布製キャップならではの「小さく畳めて軽い」という特長を持ちながら、ヘルメット同等の衝撃吸収性能を持つという、ユニークな商品でしたが、残念ながら販売は振るいませんでした。

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布製でありながら飛来・落下物用ヘルメットと同等の衝撃吸収性能を持つ防災用キャップ「ヘルキャップ」 「ヘルキャップ」の頂部に内蔵された衝撃吸収パッド


回転式ヘルメットの開発開始

それまで当社にも、「保護帽の規格」に合格した折り畳み式ヘルメットを作ってほしいという要望は度々寄せられていました。それに対して、社内では「当社製を出すからには、当社の独自性が十分発揮できる製品を売りたい」という営業側の要望や、「ヘルメットのことをよく知っている当社だからこそ作れる製品を追求したい」という開発側の声が上がっていましたが、なかなか製品化への糸口が掴めませんでした。

遅ればせながら、当社が本格的に折り畳み式ヘルメットの開発に着手したのは、2014年の3月です。開発と営業の担当者間でまとめた企画コンセプトは、「かぶり心地の良い、仕事に使用できる本格派ヘルメット」でした。もちろん、保護性能の高い「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の検定合格品。都市部で建築現場を掛け持ちする現場監督や工場間を飛び回る技術者を想定し、ヘルメットをかばんに入れて持ち運ぶことができるよう、軽くてコンパクト、そしてデザイン性にも優れたものを作ろうということになりました。

折り畳み式ヘルメットに関する特許は既存の製品以外にも、いわゆる町の発明家によるものも数多く出されているため、当社独自の製品を作るためには、全く新しいアイディアを考案しなければなりません。

「畳む」「潰す」「輪切り」といった方法以外で考えついたのは、帽体の上半分(以下、トップ部)を「回転する」方法でした。トップ部が反転して帽体下半分(以下、本体)に収まれば、帽体の高さは半分になります。

実際に既存ヘルメットの帽体をカットし、トップ部が回転する試作品を作ってみました。トップ部の下端が本体の上端の径よりも小さければ、くるくるとよく回ります。ところが問題は、それを固定する方法が見つからないことでした。

これを解決したのが、回転軸を通す孔を正円ではなく、長円にするアイディアです。収納した状態からトップ部を回しながら前方に向かって押すと、軸がわずかにずれることで、トップ部が本体上部に乗り上げて止まりますので、組み立て後の帽体の安定性が飛躍的に向上しました(完成した製品では下画像のように、本体の内側に、トップ部が乗る突起部を設けています)。

このブレイクスルーにより、大きな衝撃に耐えるための技術的方向性が定まり、その後の開発が一段と進みました。

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本体の内側
長円形の回転軸の孔(①)と、トップ部が乗る突起部(②)

かぶり心地の追求

この開発品は、いざという時にしか使わない「防災用」としてではなく、仕事で日常的に使える本格派のヘルメットを目指しましたので、安全性能は言うに及ばず、かぶり心地の向上にも力を注ぎました。

衝撃吸収はもっぱら、トップ部に配置したハンモックと衝撃吸収ライナーに委ねられます。携帯に便利なコンパクトな形状に仕上げる必要があるため、設計と試作を繰り返し、材質についても慎重に選定しました。

また、安定した深い被り心地は、ヘッドバンドによる後頭部の支え方によって変わってきます。このため、ヘッドバンド後部の形状も、十分な検討を重ねて決定しました。

このようにして、製品は最終形へ近づいて行きました。


過酷な苛め試験を乗り越える

試作品に「保護帽の規格」による製品性能の評価を行ったところ、設計どおり、「飛来・落下物用」と「墜落時保護用」の検定試験に余裕を持って合格する実力があることがわかりました。

しかしながら、過酷な作業環境で使用しても不都合がないよう、当社独自の様々な苛め試験を行ったところ、人力による繰り返しの打撃により、プラスチック製の回転軸が折れるという事態が発生しました。

このため、回転軸の形状変更を行いましたが、状況は改善せず、最終的には金属製リベットを代替品として用いることにしました。リベットの使用は回転軸のわずかなブレを生み、安定した操作性を損ないましたが、粘り強い微調整で、最終的には克服することが出来ました。

この改良段階は、本製品開発上の最後の大きな山場となり、成功するまで約2ヶ月を要しました。


防災用ヘルメットとしての特長

防災用ヘルメットというのは、いざという時に、保管状態から誰でも簡単に、素早くかぶれなくてはなりません。この製品はそういう場面にも最適だと確信し、防災用としての更なる付加価値を加えました。

(1)保管が便利なA4サイズの収納箱入り

防災用ヘルメットの保管場所には、本当に困ります。職場では机の下に吊下げておくことが多いようですが、座る際に膝にぶつかって邪魔になります。中には更衣室の個人ロッカーに入れたり、組織の人数分を箱に入れたまま、倉庫にしまったりしている場合もあるようですが、それではいざという時、すぐにかぶれません。

新開発品は収納性を考慮し、ほぼA4サイズの小箱(厚さは84mm)に収納することにより、すぐに手が届く個人の机の引き出しや書類棚に入れられるようにしました。また、付属の携帯袋に入れれば、壁などに掛けておくこともできます。

(2)幅広い頭周囲に対応できるヘッドバンド

防災用ヘルメットは幼児から大人まで使われるため、広範囲の頭周囲に対応できなくてはなりません。また、育ち盛りの子どもは、身体と一緒に頭のサイズもどんどん大きくなってゆきます。

そこで、ヘッドバンド後部の取り付け位置を前後にずらすことにより、Lサイズ(53〜62cm)とSサイズ(47〜56cm)の設定を、ユーザーが簡単に変更できるという、従来品にはない新しい工夫を取り入れました。

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机の引き出しに収納

回転式ヘルメット「Crubo(クルボ)」と命名

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2016年1月、念願の発売に漕ぎつけました。愛称は帽体がクルっと回るから「Crubo(クルボ)」です。
携帯用として、また防災用としてお使いいただきますよう、ぜひともご検討ください。

なお、携帯用と防災用のPR動画を別々に制作しましたので、ぜひご覧ください。